インバータ装置は、省エネルギー化や、生産性の向上、操作性の向上など多くの特長があり、産業用はもとより民生用、家庭用にいたるまで広く普及し、各種産業機械のハイテク化に大きく貢献しています。産業用分野においては、1980年代よりインバータ装置がモータの制御装置として採用され始め、鉄道車両にも多用されるようになってきました。 鉄道車両のインバータ装置は、もともと性能と信頼性の向上及び保守の省力化を目指した電子機器でしたが、最近では車両故障の中でインバータ装置の故障が目立つようになっています。鉄道車両は長きにわたり同じシステムを使用していましたので、その間に発生した不具合を、設計や保守作業にフィードバックすることで、車両に不具合が発生することを防止していたのです。しかしインバータ装置は、これまでの経験だけでは保守できないことに加えて、ブラックボックス化されているため、最適な保全手法の確立が課題となっています。 鉄道車両のインバータ装置に関しては、鉄道総合技術研究所が、1995年度〜2008年度の14年間で約22,000両のデータを用いて実施した「車両用電子機器の故障防止に関する調査研究(2011年3月)」で、経過年数と故障率、及び故障の個所と内容についての報告がなされています。その報告によりますと、最も故障が多く発生しているのは、新製から8年目の経年故障で、約2.3%の故障率となっています。次に新製から1年未満の初期故障が多く、故障率は約2.1%と高く、初期故障がストレス劣化であることを暗示させています。また、インバータ装置の故障個所は、制御部(コントロール基板)が50%と最も高く、次に主回路半導体部(ドライブ基板と電力素子)で32%、その他の回路構成部(平滑コンデンサ)は11%、その他が7%となっています。最も多い制御部について、原因が判明した故障の内容を見ますと、ゲート論理ユニットの不具合は47%、制御電源の不具合が30%を占めています。特に制御基板上の部品は、ICが55%であり、また基板部品の故障モードの約3割がはんだ不良となっています。このはんだ不良の原因としては、基板材料・部品リード部・はんだの熱膨張係数の違いから、温度変化による繰り返し応力が発生したため、部品リード部にクラックが発生したためと考えられています。また主回路半導体部では、ドライブ基板及び電力素子の不具合は、それぞれ54%及び46%と、ほぼ同数になっています。
車両走行用インバータ装置は、使用環境条件が厳しいために、新製から1年未満の初期故障が、また新製から8年で経年故障が多発しています。電子機器は故障の予兆がない場合が多いことから、信頼性向上のためには、目視点検もさることながら、いかに故障の予兆を捉えて対策するかが最重要となります。この課題を解決する秘密兵器が〔今月の花
アカシアの花言葉〕、高調波設備診断法なのです。 当社の高調波設備診断システム「KSシリーズ」は、インバータ装置で駆動するモータや負荷(車軸や歯車など)と共に、インバータ装置各部(平滑コンデンサ、コントロール基板、電力素子、ドライブ基板)の異常・劣化を診断・分析し対策を含めた保全法を自動的に知らせます。その結果を基に、モータや負荷の不具合個所を整備・更新することにより、インバータ装置へのストレスを抑えることができ、装置の延命化、ひいては信頼性向上に寄与するのです。
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アカシア(中国:広州にて) 花言葉「秘密・優美」 |
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2014年11月4日 来月のメッセージも是非ご覧下さい エイテック株式会社
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