アメリカ発の金融不安に始まり、100年に一度の世界的不況といわれている中で、保全の経営における意味がこれまで以上に問われています。景気後退時には、各企業とも先ず3K(交際費・交通費・工事費(保全費))の削減に着手します。しかし工事費の削減にともなう保全周期の延長等で、設備管理へのリスク増加が考えられます。工事費の削減では保全案件が減少し、設備に熟知したベテラン技能者の雇用問題と、設備管理に携わる要員の最適配置化による要員削減の効率化の問題が発生します。そのような状況下では、保全の品質低下による起こりうるリスクが発生し、品質低下を食い止めるための設備管理手法の改革が必要となります。また、経営合理化策による点検・整備個所の見直し(削減)で、設備管理の保安リスクが増加することも考えられます。現に、1990年代のバブル崩壊後に行われた保全費削減等の経営合理化策が安全管理面にしわ寄せされたことで、大事故が増加したことは記憶に新しいところです。ゆえにバブル崩壊後の再現にならないよう、従来の設備管理手法から脱却しなければなりません。 設備管理業務には、形式化できる形式知と形式化できない暗黙知があります。教育・研修で使用されるテキスト・資料は過去から蓄積されたデータや経験をもとに作成されたもので、設備管理要員が設備管理業務の思想・概念や問題点の整理・対策までを形式化し、設備管理要員が理解できるように形式知に変えたものです。 当社の電気設備機器診断器KSシリーズは、約10年に亘り収集・取得した37,200件のデータ情報を解析・分析することで形式知にしたものです。また、これに人工知能搭載の「高調波知的劣化診断システム」を活用することにより、設備機器内部で発生している事象や具体的対策などを把握することで、機器の異常・劣化度を精度高く予測し寿命推定を行うことができます。
その一方で、暗黙知とはマニュアルや基準の文言に表されない部分で、機器固有のくせや技能者の感覚的な技などがあるので、形式知にできないことも多くあります。いわゆるアナログ的、現場的なものです。しかし、この暗黙知であったものを形式知にすることで、膨大な情報から設備機器ごとの管理手法・判断基準をつくり出し、業務標準やマニュアル化することで安定操業を行って保全費を大幅に削減することが可能です。例えば、「高調波知的劣化診断システム」では、機器固有のくせを運転状態(正常、異常の区分)、負荷モード(高位、安定、低位の区分)などで形式知化しています。また、技能者の感覚的な技は、微かな音の変化で代表されますが、これは機器内部のストレス変化を検出することで形式知に変わります。 このような理由で、「高調波知的劣化診断システム」は、電気設備管理の柱であり、高尚な〔今月の花ウツギの花言葉のような〕保全費削減の形式知化ツールになるといえます。 |
空木(ウツギ)別名:卯の花 花言葉「高尚、気品」
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