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2013年9月5日(木)

KS405−113
9月の社長メッセージ
   鉄道のメンテナンスに有効な「高調波知的劣化診断システム」
          〜鉄道の安全性・信頼性の向上を図りメンテナンスコストを削減しよう!〜

 20世紀の高度成長期に建設された鉄道・電力・ガス・水道などの社会インフラは、21世紀に入って経年劣化・老朽化の時期を迎え、新たな投資による撤去・新設あるいは補修・取替による延命化を迫られていますが、経済成長の停滞や地球環境保全の観点から持続可能な社会の実現を目指して、既存設備の有効活用が待望されています。
 鉄道において、安全で安定した鉄道輸送がなされるためには、長大な地上設備や車両の検査・保守が間断なく的確に実施されなければなりません。少子高齢化や3K作業忌避による労働力不足や団塊世代大量退職等による技術継承問題等を抱える現在、鉄道メンテナンスの重要性はますます高くなっています。地上設備・車両の長寿命化や検査・保守の効率化等を通じたコスト低減に加え、メンテナンスに要する車両の停留時間の短縮による車両運用の効率化によって、鉄道経営や社会全体への貢献も大きく期待されています。鉄道のメンテナンスには多くの人手と時間、経費を要します。地上設備と車両の保守経費は、営業費用全体の30%程度にもなり、鉄道経営上の重要な課題となっているのです。
 鉄道のメンテナンス技術は、長年の技術者の経験の蓄積と膨大なデータの分析結果を基礎として、「事後保全方式」から予防保全に属する「時間計画保全(TBM)方式」に移行してきましたが、今後のメンテナンス技術の変革を目指すためには、今まで以上に新しい発想や新技術の活用により、予知保全と呼ばれる「状態監視保全(CBM)方式」に転換しなければなりません。既に電力業界では、東京電力が「聖域」だった発電所や変電所のメンテナンスを、TBMからCBMに変更することで、安全性の向上に加え、大幅なコスト削減が見込めるとしています。東京電力のこの取組みは、社会インフラでは初めての経営判断によるメンテナンスとして注目されます。変革の初期には反発や逆風は必ずあります。経営が強い姿勢を示せば、現場も変わるはずです。新しい設備診断手法が正しいか検証し、それをフィードバックする仕組みを明確にすれば、結果は自ずと良い方向に向かいます。

 現在、鉄道のメンテナンスに使用されている検査装置・システムの代表としては、軌道狂いや車両動揺を測定する軌道検測車並びにトロリ線摩耗や離線率を測定する電気検測車がありますが、これらは専用車両として低速で運行しなければならず、営業車両を使用して車両や地上設備の必要部位の変位や振動、発生する応力(ストレス)などを測定する手法が望まれています。また、IT等の技術を活用したセンサ技術やデータ伝送システムによる総合的な検査・診断システムの構築も、鉄道メンテナンスの変革を推進する大きな流れとなっているのは間違いありません。
 当社では、このようなニーズに応えるために、営業車両に取り付けたセンサによって、走行中に高調波信号データを取得し、計測結果から瞬時に設備・部位の異常・劣化を判定するだけでなく、補修・取替などの予測を自動的に行う「高調波知的劣化診断システム」を開発しています。この診断装置は、長年に亘り収集・取得した電気機器の膨大なデータ情報を解析・分析することにより完成したもので、実証データの積み重ね〔今月の花 ニチニチソウの花言葉〕から確立した、鉄道のメンテナンスに有効なシステムと言えましょう。 










 
    ニチニチソウ(日々草)
   花言葉「積み重ね」

 
                                                  2013年9月5日
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                             エイテック株式会社


2013年8月5日(月)

KS405−112
8月の社長メッセージ
   「高調波知的劣化診断システム」が築く鉄道の安全文化
          〜スペインの高速鉄道(AVE)の事故は安全意識の欠如により起こった!〜

 2013724日午後840(現地時間)、スペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラ近郊で、高速列車の脱線事故が発生し、79人が死亡、140人が負傷するという大惨事となりました。これは1940年代以降で最悪の列車事故となっています。列車が猛スピードで急カーブに進入した原因についての調査が行なわれていますが、列車から回収した「ブラックボックス」を解析した結果では、運転士は制限速度が時速80キロのカーブを192キロで走行、脱線の直前にブレーキをかけています。事故のあったカーブ付近では、201112月の路線開通当初から車両の走行が不安定になるとの指摘が出ていた事も報じられています。また、事故が起こる数秒前に国鉄の職員から業務用電話がかかり話をしていました。裁判所の声明によりますと、運転士は地図や書類を見ながら電話で話をしていた模様であり、取り調べで速度超過を認めているほか、どこにいるのか分からなかったと述べています。
 スペインの高速鉄道は、1992年にフランスのTGV(アルストム)の技術供与を受けて開業したのが始まりで、その後ドイツ(シーメンス)やカナダ(ボンバルディア)からの技術も導入しライセンス生産を行うなど急ピッチで開発を進め、今では高速鉄道を輸出産業にまで押し上げましたが、今回の事故はその出端を挫かれ大きな痛手となっています。元々スペインは当初から自国で高速鉄道システムを開発していたのではありません。その点においては、高速鉄道の総延長が世界一の中国も同じです(スペインは中国に次ぐ2番目の規模の高速鉄道大国)。現在、高速鉄道を保有している国の中で、日本(新幹線)とフランス(TGV)、ドイツ(ICE)、イタリア(ETR)の4か国だけが他国から技術支援を受けず実用化しているのです。急ピッチな開発が遠因とも思われる今回の事故から、「高速鉄道の安全文化」についての知見を述べてみます。
 事故の直接原因は非常識な速度超過です。しかし速度超過が原因であれば、厳密な速度管理が必要な高速鉄道でありながら大幅な超過を許した安全システムが問題になります。事故現場で使用されていた安全装置「ASFA」は、在来線と同じもので、速度超過した場合は運転士に警報で知らせますが、時速200キロを超えない限り自動ブレーキは働きません。事故のあった路線は、速度超過時に自動的にブレーキをかけて減速させるシステム「ERTMS」(欧州標準信号システム)を採用していますが、作動地域は事故現場から約300メートル手前のトンネル出口付近までで、その先は旧式の安全装置「ASFA」を使っていたのです。新旧混在の安全システムが事故原因であるという謗りを免れません。

 事故原因として、「速度超過」と「安全システムの不備」の次に指摘されているのが、2両目の電源車の構造です。事故を起こしたのは、非電化区間でも走行できるように、先頭の機関車にこの電源車を繋いだハイブリッド車両です。2両目の電源車が電力を作り出し、先頭の車両のモータを駆動して走行させますが、電源車は非常に重く、その重量のかなりの部分を先頭側のボギー台車だけで受け止めるというアンバランスな構造になっています。重心の高い電源車及び台車の構造的問題がアンバランスな走行になったと考えられます。
 
高速鉄道の安全文化を高めるには、不安定な走行やアンバランスな走行によって生じる車両各部のストレスを的確に捉え、保安システムに組み込むことが望まれます。その目的に適った「高調波知的劣化診断システム」は、安全意識の向上に資す知的な〔今月の花 アガパンサスの花言葉のような〕ツールと言えるのではないでしょうか。










 

    アガパンサス(紫君子蘭)
   花言葉「知的な(装い)」

 
                                                  2013年8月5日
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                             エイテック株式会社


2013年7月5日(金)

KS405−111
7月の社長メッセージ
   「高調波知的劣化診断システム」の活用から始まる計画保全
          〜設備のモニタリング方式を大幅に見直し、企業利益を最大にしよう!〜

 近年、高度経済成長期に導入された多くの設備機器が老朽化しており、延命化や適正な時期でのリプレースのニーズが高まる中で、工場経営における設備管理の有り方が問われています。設備管理の保全現場では、設備に起因するロス・リスクを低減させる取組みがなされていますが、顧客や周辺住民等のステークホルダーを対象としたコンプライアンス(法令遵守)を重視しつつ、企業利益の最大化を目指した「全体最適」の仕組みづくりは遅々として進んでいません。モノづくりにおける工場経営は、現場の基礎力を土台として、「設備管理」と「生産管理」の柱によって成り立っています。従って、「全体最適」を目指す「設備管理」は、経営からの課題と生産上の課題を解決しながら工場経営を支える太い柱でなければなりません。こうした「設備管理」を達成するために、土台である現場の力を含めた「計画保全」の仕組みづくりが必須と言えます。
 「計画保全」は、設備に関わるさまざまな要素を有機的に結合することによって、管理の統合化を図るものです。これにより、現場の水準を正確に把握できるので、現場に真に必要な資源(ヒト・モノ・カネ)が明らかになります。これに従って必要十分な資源配分がなされ、“頭でっかち”から“筋骨体質”へ変わり「現場力」が向上するのです。では「計画保全」において、“保全”とは何を指すものでしょうか。保全を「壊れたら修理するもの」という狭い範囲で考えていたら、狭い範囲にしか役立たない、すなわち部分適応となってしまいます。「全体最適」で役立つ保全とは、設備の全ライフサイクルを健全に保つというスコープで考える必要があります。また、「設備管理サイクル」を中核要素として、「工事安全サイクル」・「災害防止サイクル」・「環境安全サイクル」、そして「生産サイクル」・「製品品質サイクル」・「コストサイクル」など、関係する各サイクルが具体的に連携する必要があります。各サイクルが連携し、日常的に回る仕組みこそが「計画保全」なのです。換言すれば、「計画保全」とは、「経営的な保全マネジメント」を実現するものであると言えます。すなわち、「経営的な保全マネジメント」は、保全に求められる網羅性・重点性・経済性という技術上の論理性だけでなく、確率論的に発生するリスク(予測しきれないさまざまなミスによるトラブル、事故、災害、品質クレーム等による損害の発生)や、コンプライアンスに代表される社会的要求の高度化にも対処できなければなりません。
 

「計画保全」の仕組みの概要は、経営的な「保全戦略」に基づき、まず実行内容を決める「保全計画」を立て、この「保全計画」を受けて、確実な「保全実行」として保全が実施されます。その結果により「保全評価」が行われ、次の「保全計画」を決めます。こうした管理サイクルのPDCAが日常的に回る計画主導の保全の仕組みこそが「計画保全」なのです。
 この「計画保全」の仕組みづくりに着手する前にやるべきことは、最初に設備の点検・給油・増締めなどの「基本条件の整備」です。これにより故障を低減し、設備のあるべき姿へと修復します。次に、全員参加の「5S活動」で設備の維持活動、改善活動を行います。その後大切なのは設備の「モニタリング」(点検・診断)方式を大幅に見直し、定着活動を行うことです。
「計画保全」の成否は「モニタリング」の方法によって決まるといっても過言ではありません。「高調波知的劣化診断システム」は、設備のストレスを的確に「モニタリング」するシステムであり、企業利益を高めるツールとしては、満足〔今月の花 クリの花言葉〕して余りある「計画保全」を遂行する旗頭とも言えるのではないでしょうか。





 クリ(栗)
   花言葉「満足・真心」

 
                                                  2013年7月5日
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                             エイテック株式会社


2013年6月5日(水)

KS405−110
6月の社長メッセージ
   設備故障の要因解析をサポートする「高調波知的劣化診断システム」
          〜高調波によるストレス診断で予知保全と予防保全の両輪を回そう!〜

 近年の技術革新の進展により、設備によって製品の品質・原価・数量などが大きく左右されるようになってきています。従って、設備の故障発生による企業収益の影響は甚大で、設備を停止させない高度の保全技術が不可欠なのです。そこで、まず設備故障について整理し、今後の設備保全の有るべき姿を考えてみたいと思います。
 形のある物はいずれ壊れます。すなわち何かのストレスが故障に至る諸悪の根源であると考えます。ストレスの発生源から故障を分類しますと、内部発生ストレス型故障と外部環境ストレス型故障に分かれます。前者は設備自身が発生する各種のストレスが劣化の要因となっている故障で、これを区分すれば熱ストレス、電圧ストレス、機械ストレス、環境ストレス、及び複合ストレスとなります。後者は設備の設置されている周辺環境から受けるストレスが劣化の要因となっている故障を言いますが、その区分は内部発生ストレスと同じです。ただ、この場合の環境ストレスは湿気と塵埃が主因になる点が異なります。
 設備の故障要因は、設計・製造・組立不良型故障や運転操作ミスによって誘発される操作不良型故障もありますが、故障の多くはストレス劣化型故障であって多岐にわたっているため、故障を低減する対策もそれぞれ異なってきます。故障の原因がどんなストレスなのかを測定・解析し、そのストレスを排除または軽減するか、またはストレスに強くする対策が必要です。つまり設備故障がなぜ発生したのかその原因をきっちり解析せずに、単に故障部位の復元のみを行っていたのでは必ずその原因による故障が再発します。また類似設備への事前の対策や新規計画設備への反映も行う事が出来ません。
 この設備故障の要因解析において、単一要因の解析には“なぜなぜ故障解析方法”があります。これは機能停止・突発型の故障解析であり、故障現象からなぜその現象が発生したのか、それはなぜそうなったのか、それはなぜかと追い詰めて最後にストレスの発生原因にたどり着く解析です。しかしその設備の機能構造と物理化学的知識の他に、故障物理の解析技術が必要になります。また故障原因が複数ある複合要因の故障は、真の原因が分からずに復元の対策を行うために、繰り返し故障が発生し慢性化している場合が多くあります。この種の故障は機能低下やチョコ停型の故障に見られ、“FTAFault Tree Analysis:故障の木解析)解析方法”が有効です。この手法は、システムに起こり得る望ましくない事象(特定の故障・事故)を想定し、その発生要因を上位のレベルから順次下位に論理展開して、最下位の問題事象の発生頻度から最初に想定した特定故障・事故の発生確立を算出し、同時に故障・事故の因果関係を明らかにするものですが、これも論理的解析技術を必要とします。

 今後の設備保全の目指す方向は、特別な解析技術を用いることなくストレスの発生原因が把握できる状態保全(CBM)と言えますが、その基本は予知と予防の両方をバランス良く合わせ持つ保全です。予知保全とは点検と設備診断であり、人の体に例えれば、日々の生活での体の調子が良いか悪いかのチェックと、定期健康診断での血液や尿などの検査です。予防保全とは正しい運転操作と稼動、そして清掃、給油、増締めなどで、人で例えれば、規則正しい生活、睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、趣味娯楽で精神的ストレスの排除などです。設備診断で設備の劣化異常が発見・予知出来ても、その劣化を防ぐことは出来ません。劣化を防ぎ、設備寿命を延長させるには予防保全がされていなければならないのです。このような観点から、「高調波知的劣化診断システム」による状態保全は、予知と予防を合わせ持ったもので、今後の設備保全の有るべき姿を示すものと言え、企業社会が歓迎〔今月の花 ヤマフジの花言葉〕する設備管理手法と位置付けることが出来ましょう




 ヤマフジ(山藤)
   花言葉「歓迎・陶酔」

 
                                                  2013年6月5日
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                             エイテック株式会社


2013年5月1日(水)

KS405−109
5月の社長メッセージ
   設備管理技術に新風を吹き込む「高調波知的劣化診断システム」
          〜高経年設備のメンテナンスは潜在的な劣化現象の把握と対策から〜

 無事故・低コストで既存のプラントを運営するためには、経年劣化以外にも安全を確保するための社内規則やシステムの不備、従業員への不徹底、人的ミスの原因も考える必要がありますが、設備管理という観点から言えば、経年劣化による設備上の弱点を的確に把握し、当該部品・部位をタイムリーに取り替えることが最重要課題です。設計不備や施工不良は原因が取り除かれれば、その問題は解決しますが、経年劣化は避けて通ることが出来ません。しかも、全ての設備が時間の経過あるいは運転の繰り返しによって劣化を起こすことから、対象アイテムの網羅的な対応が要求されます。保全作業の大部分が経年劣化の対応を目的としているにも拘らず、それぞれの経年劣化現象がどのような速度でどのように進行するかが分かっている場合は殆ど無く、基本的にはそれが顕在化した段階で補修するという方法がとられてきました。
 経年劣化の一般的なパターンは、健全期から兆候期、加速期を経て機能喪失(故障)に至りますが、現象の特徴や観測精度(観測手法)によっては、兆候期と加速期が観測されずいきなり故障に至る突発的な例など、組み合わせは様々です。どのようなパターンで劣化が進行するかを把握して、経年劣化を管理することは設備管理の効率化のために、更には安全管理上の重要な問題です。最も単純なパターンは、初期から兆候期が始まり直線的に機能喪失に至る例で、途中経過を23点測定して外挿すれば寿命を予測することが出来ます。これは全面腐食による管壁の減肉やファン羽根の塵埃付着などに見られます。ベアリングのように健全期がかなり長く、やがて比較的短い加速期の後で故障に至る例では、いつから観測を始めるのかが重要な問題となります。更に、健全期からいきなり機能喪失に至る、いわゆる突発故障は設備管理では最も厄介な問題であり、例えばインバータの電子回路基板の劣化やモータ巻線のレアショートなどがこれに該当しますが、現象は突発的でなくても、途中経過を観測する手段を持たない場合、あるいは放置している場合に現れる現象です。
 設備管理における設備の信頼性とは、その設備がいつ故障するかを評価することであり、現実的には最も困難な問題であると言うことが出来ます。これは、設備の寿命が稼動状態によって変わるので、統計的な処理では限界があるためです。しかも、発電所のような設備では、タービンのように系列に一つしかない設備が多く、1回でも故障すると致命的な結果になります。これに対して、故障物理に従って異常を想定し余寿命を予測する考え方は、設備の評価に効果的であると期待できますが、現実には「誤差」がつきものであり予測は容易ではありません。こうした原因による誤差をできるだけ排除して、設備の機能を正常に維持し、本来の生産性を確保するためには、設備の状態変化に柔軟に対応しながら、しかも計画的に設備の傾向管理を実施することが必要です。

 高経年設備のメンテナンスは、従来の方式で対処しても、事故を十分に防ぐことは難しく、潜在的なトラブルの予測管理が必要です。プラントは、必ずしも設計条件下のままで稼動するとは限りません。むしろ、設計条件設定時では想定出来ない種々の問題を抱えながら稼動し続けています。しかも運転条件の変更、製品品質の変更、環境の変化等により、稼動条件は変更されます。特に、高経年設備の劣化モードは多岐にわたり複雑なため、従来手法の延長線上ではなく、潜在的な劣化現象が把握でき、それに対応できる観測手法が求められます。このような要求に応える「高調波知的劣化診断システム」は、不思議な力〔今月の花 ベニバナトキワマンサク(紅花常盤万作)の花言葉〕とも言える高調波の劣化診断メカニズムによって、設備内部の部品・部位に発生しているストレスの把握と対策を提示することが出来る新しい設備管理システムなのです。  











 ベニバナトキワマンサク
   花言葉「不思議な力」

 
                                                  2013年5月1日
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                             エイテック株式会社


2013年4月5日(金)

KS405−108
4月の社長メッセージ
   予防保全の高度化に応える「高調波知的劣化診断システム」
          〜高速鉄道の安全性を支える鉄道のメンテナンス体系を変えよう〜

 鉄道のメンテナンス技術は、長年の技術者の経験の蓄積と膨大なデータの分析結果を基礎として、その時々における新たな発想と新技術が加えられて成長・発展を遂げてきましたが、今後のメンテナンス技術の変革を目指すためには、今まで以上に新しい発想や新技術・新材料の活用が求められます。高速で走行する重軸荷重の鉄道車両は、列車の繰り返し走行や自然環境にさらされて、設備や部位によっては短期間で劣化・損傷が多量に発生するという過酷な条件下にありますが、それらの検査・診断を的確に行い、劣化・損傷した、あるいはそれらが予測される設備・部位に対して補修・取替を施すという一連のメンテナンスのサイクルを繰り返すことにより、安全で安定した鉄道輸送を実現することが可能になります。
 1964101日に、世界初の速度210km/h運転を達成した東海道新幹線、そして今年316日に、320km/hというフランスのTGVと並ぶ世界最高速度で運行している東北新幹線、日本の新幹線は50年近くの長期にわたって列車に乗車中の乗客が死亡する事故は発生していません。新幹線の安全性に関しては非常に高いものと捉えられており、この事実は“新幹線の安全神話”などと称されています。しかし死者こそ生じなかったものの、重大な事故に至る一歩手前の事態は過去に何度か発生しているのです。新幹線の安全を脅かす重大な事故例としては、@1973年に東海道新幹線の大阪運転所(鳥飼基地)からの回送列車が脱線した事故、A1974年に東京運転所(品川基地)分岐線と新大阪駅構内で相次いで発生したATC異常信号事故、B1991930日、東海道新幹線ひかり291号が、三島駅まで車輪を固着させたまま走行した事例で、最高速度はATC頭打ち速度の225km/hにまで到達していた事故、C1997年に山陽新幹線の岡山新幹線運転所内で過走して脱線した事故、D2010129日、東海道新幹線こだま659号のパンタグラフの取付不良による架線切断事故、E201033日、山陽新幹線のぞみ56号の走行中のギアケース破損・脱落事故、などがあります。

 このような背景の中で、新幹線に代表される高速鉄道は、世界各国で建設が進められていますが、その安全性を支えるメンテナンスの有り方が問われています。車両故障や列車運転に支障をきたす可能性のある設備・部位の劣化や損傷を見つければ、その都度修繕する「随時修繕」(事後保全)から、定期的に検査を行って故障や損傷の可能性のある部位の取替・補修を行うという「定期修繕」(時間計画による予防保全)に移行されてきたものの、重大事故になりかねない事例が高速鉄道においてしばしば発生しているのです。高速鉄道のメンテナンスは、従来のような劣化を診断・検出して修繕、もしくは定期的に設備や部品を交換するといった手法は有効ではありません。高速鉄道では設備に発生するストレスや異常を的確に知り、その回避法を提示する新しい診断システムの導入、換言すれば高度化した予防保全の確立を目指す鉄道のメンテナンス体系の改革が必要です。
 そのため当社では、20101月に「高調波知的劣化診断システム」KS-7000を使って、中国高速鉄道(CRH2)の実証試験を実施し、@駆動系のストレス特性、A制御系のストレス特性、B車体・車輪の振動・共振特性、C負荷電力特性、D異常部位と保全の必要性など、波形画像の表示と合わせてメンテナンス情報のデータを取り出すことに成功しました。正にこのシステムは、天下無敵〔今月の花 モモの花言葉〕のメンテナンスツールになり得る新技術であり、高速鉄道のメンテナンス体系の改革に寄与すると言えます。













     モモ(桃)
   花言葉「天下無敵」

 
                                                  2013年4月5日
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                             エイテック株式会社


2013年3月6日(水)

KS405−107
3月の社長メッセージ
   トップランナーモータの普及を後押しする「高調波知的劣化診断システム」
          〜省エネ社会への貢献を目指し世界基準の高効率モータの競争がスタート〜

 モータの中で最も汎用的な産業用モータの国内省エネルギー基準が20154月から変わります。経済産業省は今年1月末、欧米など世界各国の規制状況に合わせた「IE3」基準対応にすることを決めました。省エネ製品の普及を図る「トップランナー制度」に産業用モータを加える形で導入拡大を進めることになりますが、電気機器では変圧器が既にトップランナー機器として指定されています。このトップランナー制度は、エネルギー多消費機器のうち、対象となる機器ごとに基準値を設定し、目標年度を定めて省エネ製品の普及を促す制度で、目標年度に達成状況を国が確認します。基準に達しないと、ペナルティーとして社名等が公表されて罰金が科せられるのです。国内での導入が決まったIE3モータは、国際電気標準会議(IEC)の効率基準に基づいて、低損失を徹底的に追求し、モータの心臓部である鉄芯材料の高機能化や形状を最適化した高効率モータです。導入コストはこれまでの標準モータと比べ高くなりますが、運転コストは低減できます。このモータの採用は効率値で考えると小さな改善に見られますが、実際に損失で考えますと30%近く削減されます。従って、モータを動かすための電気料金も大きく低減可能で、国内の電力不足の状況をみますと、この省エネ効果をできるだけ早く出していくことが望まれます。
 日本国内における産業用モータ(0.75kW375kW)の国内出荷台数は年間680万台で、現在1億台が稼動しており、国内電力消費量全体の55%と相当な量を占めています。これらのモータ全てがIE3に置き換わった時の試算では、電力削減量は年間155kW時で、年間の全電力使用量(約1kW時)の1.5%になるとされており、これはほぼ原子力発電2基分に相当する量であり、また二酸化炭素(CO2)も約1191億トンの削減効果を有することになります。産業用モータは、その効率値が高い方から「IE3」、「IE2」、「IE1」と分けられますが、日本ではモータにインバータを組み合わせた省エネ化が進められてきたことや、50Hz/60Hzの二つの周波数がある特異な国であったことなどから、モータ単体での規制がこれまでなかったのです。
 一方、欧米やアジアで広がる効率規制の中で、日本が国際標準で競争力を高めるには、他国(米国、欧州、韓国、中国など)のような段階的な規制基準の引き上げではなく、一気にIE3へ引き上げる必要がありました。

 トップランナーモータによる世界基準の省エネ実現は、別の見方をすればモータ電力(モータ供給電力)と負荷電力(負荷消費電力)とを整合(マッチング)させることと考えることができます。つまり、モータ電力と負荷電力をバランスさせれば省エネが可能だということです。この省エネを高めるには二つの方法があります。その一つはインバータの利用で、主として負荷損失の多いポンプやファン、圧縮機などの設備には大きな省エネ効果が得られます。もう一つは、主としてモータ損失の多い設備で、モータの損失を小さくした高効率モータの採用により、モータと負荷の電力バランスをとり省エネ効果を上げる方法です。トップランナーモータによる省エネ実現は後者の方法ですが、電気設備の省エネ推進のためには、電力バランスの診断・評価を行うことによって、費用対効果に優れたシステムの構成が可能になります。
「高調波知的劣化診断システム」KSシリーズは、設備の故障予知診断に加え、省エネ診断が可能です。すなわち、モータと負荷の稼動状態を電力バランス(負荷モード)の観点から計測することで、高効率モータに最適な設備の選択が即座にできるのです。いよいよスタートするIE3高効率モータは、モータメーカーの省エネ競争〔今月の花 ナノハナの花言葉〕であり、モータと負荷の電力バランスを診断・評価するKSシリーズが社会に貢献する日も間近に迫っていると言えます。















     ナノハナ(菜の花)
   花言葉「競争・活発」

 
                                                  2013年3月6日
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                             エイテック株式会社


2013年2月5日(火)

KS405−106
2月の社長メッセージ
   「高調波知的劣化診断システム」はヒューマンエラー管理の一翼を担う
          〜ボーイング787型機の緊急着陸から検証するトラブル診断〜

 2013116日に、山口宇部空港から羽田空港に向かっていた全日空692便ボーイング787が、バッテリからの発火により機内に煙と異臭が発生したことから高松空港に緊急着陸しました。最新鋭中型旅客機の787は、機体の70%近くを海外メーカを含めた約70社に開発させる国際共同事業です。これによって、世界中の最高技術を結集した機体になるとしていました。参加企業は下請けを含めると世界で900社に及び、イタリア、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国、中国といった国々が分担生産に参加しています。日本からも三菱重工業を始めとして数十社が参加し、日本企業の担当比率は合計で35%と「準国産機」ともいえるもので、アメリカ以外では最大の割合です。(昨年末時点でのボーイングの受注は848機)座席が広く、乗り心地がいいと好評だった新鋭機に、201111月の就航当初よりマイナートラブルが度々見られ、昨年からも油圧系統の不具合、燃料漏れや潤滑油漏れ、バッテリからの出火などのトラブルが続いたのです。787は少ない燃料で長く飛ばそうと、エンジンの設計を大幅に変更しており、翼を動かす油圧ポンプやエアコンの駆動に、従来機のようなエンジン内部で作った高圧の圧縮空気を利用するのではなく、電力で動かしてエンジン出力を全て推進力に使えるようにしています。そのために大容量のバッテリが必要になり、専門家は「787は電気の化け物」と話すぐらいでした。電力の使用量が大幅に増加していることを背景に、従来機ではニッケルカドミウム(ニッカド)電池を採用してきましたが、787では民間航空機としては初めてリチウムイオン電池を採用しています。リチウムイオン電池はニッカド電池に比べて同寸法なら、2倍の電力を供給できるなどの利点がある反面、材料として使われている有機溶媒に発火性がある問題点が指摘されてきました。このリチウムイオン電池を製造したのは、世界最先端の技術を持っている日本のGSユアサです。GSユアサは部品メーカとしてボーイングに納入しているわけではなく、フランスのタレス社がその間を取り持っています。そして、制御系を含め航空機電源のマネジメントをするシステムはこのタレス社が製造しています。しかしこのタレス社は、フランスの宇宙航空・防衛に関する技術を扱う国策会社であり、そのシステムの設計・製作には厳格な管理がなされています。
 787のトラブルで、バッテリとその充電システムについては調査が継続中ですが、忘れてはならないのは、ボーイングによる最終組立における配線ミスはなかったかという点です。いわゆるヒューマンエラーの可能性も注視すべきでしょう。ハイテクな航空機であっても、その配線は手作業で行なわれています。ユナイテッド航空に納入された787からはすでに配線ミスが見つかっているのです。このヒューマンエラーによりリチウムイオン電池が過充電をしたり、急速に放電(回路のショート)したりすると(飛行記録装置の解析からも発火時に急速にバッテリ電圧が低下したことが知られています)、過熱状態となり損傷を受け発火する恐れがあります。その燃焼温度は高く、可燃性のガスや炎、火花を放出して爆発する恐れさえあるのです。787が国際分業による組み立て方式であることも影響しているように思えてなりません。

 トラブルの約8割はヒューマンエラーと言われています。ヒューマンエラーを予防するためには、起こしにくい管理システムを構築する必要があります。このヒューマンエラー管理を効果的に推進していく上で、作業ミスをチェック・診断するツールとして、「高調波知的劣化診断システム」が有効です。このシステムは回路動作のチェック・診断を、電流高調波信号により行なうもので、この信号の分析から潜在的な回路異常の前兆を捉えることができ、ヒューマンエラーによるトラブルが回避できる可能性があることを記憶〔今月の花 マンネングサの花言葉〕して欲しいと思っています。











    マンネングサ(万円草)
   花言葉「記憶・静寂」

 
                                                  2013年2月5日
来月のメッセージも是非ご覧下さい 
                             エイテック株式会社


2013年1月7日(月)

KS405−105
1月の社長メッセージ 年頭の挨拶
 2013年度 エイテック標語 3B
    Benefit(利益)・Belief(信頼)・Best(最良)〕
          〜企業利益の最大化を図るには信頼に足る最良の設備診断手法が必要〜

 新年あけましておめでとうございます。
 2013年の初めにあたり、この「社長メッセージ」が、企業利益の最大化を図る上で参考になればと願っております。
 さて、生産設備の大型化、複雑化、高速化にともない突発故障による損害が膨大なものとなってきています。また予防保全(PM)に要する保全コストも鉄鋼業や石油化学、および航空機などの運輸産業においては全売上高の10%〜20%に達し、経営上財務上の最大の障害となっています。PMは設備が経時的に劣化するという年齢依存型特性(バスタブ曲線)を前提としていますが、この劣化はバラツキが大きいためPMでは定期点検や分解検査が重要視されてきました。PMは本当に設備の信頼性向上に有効なのでしょうか。定期修繕が逆に故障を増加させる原因になっているのではないでしょうか。このような現場管理者の根強い疑問に答えるために、米国の火力発電所で調査された記録がありますが、58%以上の故障が定期修理作業後の1週間に集中しており、その後減少している結果でした。
 その結果を踏まえ、米国において、機器の劣化・故障特性を調査するために専門家によるプロジェクトチームMSGMaintenance Steering Group)が編成され、航空機の機器部品の劣化特性に関する調査が1968年に行われました。この調査結果で、89%以上の機器設備の劣化が時間依存型でなく、従来の時間基準予防保全(TBM)では効果のないことが示されました。すなわち、@定期オーバホールは若干の例外を除けば効果がなく、A予防保全の方法が効果的でない(PMは無駄が多くコストロスが大きい)ことが指摘されたのです。この調査結果があまりにも衝撃的でしたので再調査の要望が出され、米国のNASAを中心とした保全関連組織体が、1978年、1985年、1993年の3回に渡り同様の調査を行いました。結果はMSGによる第1回調査結果を補強するものであり、PMが効果を発揮する設備機器の割合は10%内外であることが判明し、「設備機器の劣化特性はバスタブ曲線に従わない」という確信を持たせるに至っています。
 
このようなPMの限界に関する調査結果が、現在の新しい保全管理手法を生み出したといえます。すなわち、予知保全(CBM)と信頼性保全(RCM)、およびプロアクティブ保全(PRM)があります。いずれも保全の質を高めながら保全コストを大幅に削減する手法です。これらの手法に共通しているのは、設備機器の劣化や故障の根本原因をいかに検出し除去するかということです。例えば、回転機械の故障や異常振動の原因は、ミスアライメントが5070%、アンバランスが3040%、その他10%との報告があり、その内ミスアライメントは軸受寿命を指数関数的に短縮することが知られています。劣化原因の定期的除去を行うためにアライメントチェックを定期的に実施することが有効です。また、軸受の突発故障の原因となる潤滑油汚染は、異物混入や過熱などによってもたらされるもので、これらを検出し除去することで軸受の90%は設計寿命に近づけることが可能になるとされています。

 そのような中で、「設備機器の劣化予兆(サイレント障害)を高調波で捉える」という発想をベースにして、設備機器内部で発生しているストレスを検出するという画期的な技術が生まれています。さらにそれをもとに、新たな設備診断技術としての展開がなされ、設備の最高効率運転を可能にする情報として、電力バランス(負荷モード)を監視して、省エネルギー目的に使用することも可能になっています。この、高調波診断技法は、長年に亘って蓄積した現場データによる産物であり、初志貫徹〔今月の花(木)アオキの花言葉〕の賜物として、「電気設備の稼動状態並びに異常劣化診断法」(特許第4332800号)によるKSシリーズが誕生し、信頼に足る最良の設備診断手法として期待されています。











    アオキ(青木)
   花言葉「初志貫徹」

 
                                                  2013年1月7日
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                             エイテック株式会社


2012年12月5日(水)

KS405−104
12月の社長メッセージ 
    信頼性重視保全に供する「高調波知的劣化診断システム」
          〜設備高効率稼働を妨げる”いじり壊し”を止め、故障の発生を低減さそう!〜

 使い捨ての時代、ともすると保全ということについての価値観が失われつつある現代、最近の例だけでも、JR新幹線の事故(20101月、20103月)、化学プラントの爆発・火災事故(20123月、20129月)、地震、津波の結果とは言え原子力発電所の大事故(20113月)等々、大型設備の保守にかかわるトラブルの報道がマスコミを賑わせています。大型設備の保全の有り方に警鐘を鳴らすものと受け取るべきでしょう。
 大型設備の保全の問題は、機器の種類が雑多な上、同種の設備でも設計が全く異なる機器が存在し、それらをどのように保全していくべきか、非常に難しい問題を含んでいます。現在は、保守マニュアル等の整備は進んでいるものの、設備を管理する部門、または、ベテラン技能者がそれぞれの機器やシステムの特徴と運転経験を基にして、努力と勘によって保守計画を立てているのが現状ではないかと思います。米国機械工学会のASME Codesは、ボイラの事故という貴重な経験を基に、基準化を図り作られてきたものであり、現在も毎年アデンダを発行し、質を高めていく努力には敬意を表するに値するものがあります。一見ばらばらに見える電気設備にも、モータと負荷の間の「電力バランス」(高調波診断技法でいう負荷モード)を基に基準化していくことも可能だと考えます。
 一方、高経年化したプラントや大型設備の増加により、経年劣化の管理が重要性を増す中で、保守不良、ヒューマンエラーによるものや偶発故障が後を絶ちません。こうした保守不良、ヒューマンエラーによるトラブルの低減や経年劣化の管理の徹底には、信頼性重視保全(RCMReliability Centered Maintenance)の考え方を本格的に取り入れることが有効です。信頼性重視保全とは、設備の状態に応じた最適な分解・点検頻度の設定、運転中の機器の状態監視(オンライン診断)などにより、故障率低減に向けた最適な保全方式を追求する手法です。これは、定期的な分解・点検を過度に行うと、組み立て不良や異物の混入等の保守不良やヒューマンエラーによる故障発生の機会が増え、かえって設備の信頼性低下の要因になりうるとの認識に基づくものです。信頼性重視保全は、1960年代後半に米国航空機産業で導入され、その後1990年代以降に米国の原子力発電所の保全にも本格的に普及し、故障率の低下などに効果を挙げています。また、日本においても1980年以降に航空機産業や石油化学産業などにも導入されていますが、オンライン診断による状態監視が、軸受部の振動測定によるもののみであり、メタル軸受を採用している大型設備には適用できないなどといった課題を残しています。

 信頼性重視保全は、機器の点検間隔を最適化し、分解・点検に伴う据付不良などによって発生する可能性のある初期故障(いじり壊し)を低減させることが可能です。加えて、振動測定が適用できない大型設備や、モータ巻線の絶縁劣化などのオンライン診断には、新しい診断技術である高調波診断技法により、機器の故障率の低減、ひいては設備及びプラントの安全性、信頼性の向上が格段に期待できます。
 
今後は、信頼性重視保全の質(精度)を高めるために、設備の電力バランスを基に保守時期の基準化を行うと共に、整備前データ等の蓄積と評価による点検方法や頻度の適正化を確認していく努力が必要となります。そのためには、従来の手法による過度な分解・点検の頻度を抑制し、かつ定期的な分解だけでは防止できない偶発故障についても、早期に兆候を捉えて対応が可能となる「高調波知的劣化診断システム」が、機知に富む〔今月の花 ナンテンの花言葉〕熟練者の経験やノウハウを伝承するシステムになると思っています。











    ナンテン(南天)
   花言葉「機知に富む」

 
                                                  2012年12月5日
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                             エイテック株式会社


2012年11月5日(月)

KS405−103
11月の社長メッセージ 
    コスト・利益に貢献する「高調波知的劣化診断システム」
          〜ボトムアップ型メンテナンスからトップダウン型メンテナンスに変革させよう!〜

 鉄道、発電、化学などの大規模プラントは、設備が設置されてから何十年にもわたって稼動するので、その間の劣化や故障に対応するのはこれまでも重要な課題でした。大規模プラントではなくとも、例えば製造現場では、「チョコ停」(チョコっと短時間停まること)、「ドカ停」(ドカっと長時間停まること)と呼ばれるラインの停止が発生することもあります。そのたびに、生産量が変動し、出荷計画に狂いが生じるため、この問題に頭を抱えている生産管理担当者も多いことでしょう。製造設備のメンテナンスは適切に行われているのでしょうか?稼動率だけでなくトータルでのコスト・利益を考えた設備保全の有り方が問われています。
 そのような中で、東京電力は去る1020日、火力発電所や変電所など主要な設備の保守・修繕基準を全面的に見直す方針を固めました。電力の安定供給を名目に、必要性が低くても一定期間で機械的に交換する現状(時間計画保全(TBM)のこと)を改め、費用対効果の有効性が理解されている状態基準(状態監視保全(CBM)のこと)に変更するとしています。「聖域」だった発電所や変電所の保守・修繕費は年間4000億円以上にのぼりますが、この保全計画の変更により、400億円規模のコスト削減が見込めると試算しているのです。因みに、東京電力の133月期の連結業績見通し(1031日発表)では、売上高6250億円(前期は53494億円)、最終(当期)損益は450億円の赤字(前期は7816億円の赤字)となって、損益の改善が予想されています。更に、保守・修繕費は、そのガイドライン策定を柱に、追加削減幅を1000億円規模に引き上げる目標を掲げています。東京電力のこの取組みは、「保全を経営の一環として捉える必要がある」というメッセージを、プラントをはじめ製造業界に投げかけているもので、社会インフラでは初めての、経営判断による「トップダウン型」メンテナンスとして注目されます。変革の初期には反発や逆風は必ずあります。経営が強い姿勢を示せば、現場も変わるはずです。新しい設備診断手法が正しいか検証し、それをフィードバックする仕組みを明確にすれば、結果は自ずと良い方向に向かいます。経営も現場の意識を変えれば、メンテナンスの地位も改善され、同時に安全・安心に関する新しい局面が見えてくるに違いありません。

 現場のレベルダウンは目を覆うばかりだ」。こんな話を耳にする機会が増えました。装置産業をはじめ、日本の製造業における生産現場の質的なレベルダウンは著しいようで、緊急に対策チームを発足させた化学メーカもあるほどです。現場のレベルダウンを憂う気持ちが強くなる背景には、日本の保全の多くが現場の判断や発意に委ねられてきたという長年の歴史があります。現場重視の「ボトムアップ型」の保全は、現場に優秀な人材がいて、しっかりした技術力があった時代には問題が発生することも少なかったのです。しかし今は、現場を熟知した人材に頼れる時代ではありません。これまでの現場頼りの保全が見直される時期になってきているのです。すなわち、経営層の発意によりメンテナンスが実施される「トップダウン型」のメンテナンス体制に変える必要があります。このトップダウン型メンテナンスでは、管理者が集められた情報により実施すべき作業を決めます。現場責任ではなく、管理者責任により実施されるのです。このとき管理者へ提供する情報と、実施すべき作業(対策)の立案を支援する、状態基準の「高調波知的劣化診断システム」が、求められるメンテナンスの構造改革を推進する知恵〔今月の花  サルビアの花言葉〕のツールと言えます。












    サルビア(別名:緋衣草)
   花言葉「知恵・尊敬」

 
                                                  2012年11月5日
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                             エイテック株式会社


2012年10月4日(木)

KS405−102
10月の社長メッセージ 
    プラントの危機を救う「高調波知的劣化診断システム」
          〜経営不在のメンテナンス軽視がプラント事故の急増を招いた!〜

  去る929日午後240分頃、日本触媒姫路工場の化学プラントが爆発、火災が発生しました。爆発火災が起きたのは、紙おむつの原料になる高吸水性樹脂を生産するアクリル酸製造タンク設備で、消防隊員を含め37人の死傷者が出る大惨事になりました。火災の鎮火は30日午後3時半、タンク爆発・炎上から約25時間後でした。姫路市が消防法に基づき、29日付で同工場に異例の緊急使用停止命令を出し、これにより、一定の原因究明ができるまで同工場は操業できなくなりました。原因究明や安全対策が進まず生産停止が長期化すれば、原料供給もストップし紙おむつメーカに影響が出る可能性があり、消費者へ波及する恐れも出てきています。因みに、高吸水性樹脂の姫路工場での生産能力は世界で約20%という大きなシェアを持っており(日本触媒の生産能力は世界トップ)、事故に伴う間接損失は、直接的実損失より桁違いに大きくなると危惧されています。
 日本触媒姫路工場の開設は1960年、設備も経年年数を重ねており、何が起きても不思議ではないプラントでした。同社の幹部は事故後、「ここまでになるとは思わなかった」と言っています。事故が起こるたびに、同様な発言が繰り返されているのです。高圧ガス保安協会の「高圧ガス保安法関係の事故件数推移」には、日本のプラント事故が急増している状況が示されています。1999年度に94件にすぎなかった事故件数は以後増加し、2000年度121件、2002年度283件、2004年度491件、2006年度556件、2008年度811件、2010年度938件、昨年2011年度は999件と年々ハイペースで増加しています。
 世界に冠たる製造立国であると同時に技術立国として繁栄してきた日本は、技術面における信頼性には抜群のものがあったはずです。しかし、設備の老朽化により、プラントは軋み、無言の悲鳴を上げ始めています。プラントがひとたび事故を起こせば、プラントを操業する企業は言うまでもなく、付近住民や得意先などに多大な影響を与えます。老朽化を理由に、プラント事故が許される理由はどこにもなく、事故を起こせば、その企業は社会的信用を失い、莫大なコストを支払わされます。そしてもし、そのプラントから生産される製品が高いシェアを持つものであれば、製品が供給されないことで社会全体を不安に陥れる可能性だってあります。プラントは実に社会的な存在で、それを稼動するプラントオーナーには社会的責任があります。日本の製造業は伝統的にメンテナンスを軽視してきたように思えてなりません。

 本来、メンテナンスは製造業の根幹である生産ラインに直接的に関わるものです。従って、このラインに関わる判断を下すのは経営でなくてはなりません。安全確保は経営責任です。にも拘らず、現場に委ねられ、それが定着してしまったのは、それでも長年にわたって事故などの大きな問題が起こらなかったからでしょう。仮にチョコ停(プラントの稼動が短時間停まること)が起こっても、現場がそれを解決してしまえば経営問題になりません。経営問題にならない状況が継続されれば、現場の問題はなかなか表面化しなくなります。この結果として、安全が現場責任に委ねられることになりますが、これは本来あるべき姿ではありません。問題が起こらなければ、それが当たり前になりスタンダードになります。これは恐ろしいことです。有名なハインリッヒの法則に従えば、一つの重大災害の影に29回のかすり傷程度の軽災害があり、300回の「ヒヤリ、ハット」した体験があるはずです。爆発事故の前に、それなりの予兆を捉える「高調波知的劣化診断システム」のようなメンテナンス技術の導入により、信頼〔今月の花 マリーゴールドの花言葉〕のおけるプラントとして、確たる評価が得られていたと思われてなりません。













       マリーゴールド
   花言葉「信頼・希望」

 
                                                  2012年10月4日
来月のメッセージも是非ご覧下さい 
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