鉄道は公共交通機関として生活と経済活動を支える社会基盤(インフラ)であり、その安全性や信頼性の向上が求められています。21世紀が環境の時代といわれる中で、エネルギー効率の高い鉄道に対する期待も大きいのです。人口減、高齢化、都市への集中化という難しい状況を踏まえつつ、世界をリードする効率的な鉄道メンテナンスの構築が待たれています。 現在の鉄道車両検査は、その構造及び保全方法の種別に応じ、国土交通省令に準拠した「車両実施基準」で定められた、検査周期と検査項目を、車両工場(メンテナンスセンター)や検修区・検車区(車庫内)にて実施しています。検査のうち車両工場で行う全般検査(8年毎)と重要部検査(4年以内、走行キロ60万キロ毎)は、主電動機、補助回転機や制御装置、駆動装置などの主要部分を取り外し、全般にわたって測定、探傷、絶縁測定検査を行います。また車庫内で行う月検査は、3ヶ月を超えない期間毎に各部の状態・機能について行う検査と、車両の重要部分について10日を超えない期間毎に目視検査する列車検査があります。その他に特別な検査として、新製車両納入後の機能検査、ならし試運転や脱線・運転事故が発生した車両で故障発生の恐れの疑いがある場合、さらに改造・修繕を行ったとき、何らかの都合で車両の使用を休止した場合に、車両の一部または全般にわたりその状態及び機能について臨時に施工する臨時検査があります。 これまでの鉄道メンテナンスは、一定の期間経過と共に検査・修繕を実施する時間計画保全(TBM)が主流でした。しかし、列車装置の摩耗・劣化によるシステム故障の確率は、バスタブ曲線で知られるように初期故障、偶発故障及び摩耗故障に至るもので、「故障は起きない」とは断言できないのです。また時間計画保全は、正常な装置までも分解・検査・交換することに伴って、据付や芯出し不良などにより発生する初期故障(いじり壊し)の増加、更には人手と時間、経費がかかり、費用対効果は決して良い方向には向かわないと言えます。
今後の鉄道メンテナンスは、列車装置の状態を車両の運行中に捉え、その内部で発生している劣化の兆候をオンライン、リアルタイムで評価する予知保全、いわゆる状態監視保全(CBM)が期待されます。状態監視保全が目指すところは、鉄道車両の安全性・信頼性の向上に加え、メンテナンスコストの低減と車両運用の効率化による鉄道経営の合理化です。具体的には検査周期と検査項目を、劣化の兆候が予知される車両のみを対象にすることですが、その手順として、まず検査周期の延長によるメンテナンスの信頼性を確立するのが近道でしょう。検査周期は、車両技術と検査技術の向上によって、過去に何度か延長されてきた経緯があります。そのためには、運行車両の性能データを取得するモニタリング・システムとセンサ・ネットワークの構築が望まれます。
当社の「高調波知的劣化診断システム」は、主電動機に流れる高調波電流のセンシング、分析、モニタリングまでをオンライン、リアルタイムで処理して、列車装置の異常や劣化の前兆を評価します。特にKS-7000システムは、鉄道車両の安全〔今月の花
センニチコウの花言葉〕と、信頼性を高めるマルチセンサ・一元管理システムであり、魅力ある次世代の鉄道メンテナンス技法を提供するものです。
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センニチコウ(千日紅) 花言葉「安全・不朽」 |
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2013年12月5日 来月のメッセージも是非ご覧下さい エイテック株式会社
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